2012年12 月 に中央自動車道笹子トンネルにて天井が140mにわたり落下、車3台が下敷きになり死者 9 人、負傷者 2 人の大惨事が発生した。
今からおよそ半年前の出来事で記憶に新しい人も多いはずだ。
先日その
最終報告書が発表された。
調査・調査検討委員会による分析結果は主に
・設計強度の問題
・アンカーボルト(今回抜けて天井が落ちた)の施工状況
・点検実施状況
についてデータをもとに分析されたもので各々可能性は指摘されていたものの、残念ながらこれといって原因が特定されまとめられていたわけではなかった。
しかしながら報告書をよく読むと衝撃の事実が諸々書かれていた。
例えば
「結果的に天井部のL断面接着系ボルトについては近接での目視および打音検査は12年間未実施だった…」
随分と長い点検周期に感じるが保全点検要領(マニュアル)では
「道路交通と第三者に支障が出る恐れがある箇所の点検は1回/5年を基本とする…」
つまり5年に1度実施しておらず要領書に従っていない。
ちなみに前回の点検は2012年9月に実施しているが
「路面上からの近接目視及び打音、点検ダクト空間の近接目視及び一部打診」
と天井の下からの点検のみで天井の上のL断面接着系ボルトについては一部打音点検をスルーし実施していないことになる。
さらに驚いたのが
「2001年に実施したボルトの引抜試験(4本)で定着長不足も確認されたが、原因究明がなされず、またその後の点検・経過観察計画にも反映されていなかった。 」
「天頂部接着系ボルト652箇所の補修補強の形跡について、それぞれの補修補強目的や時期については、関係書類が調査当初に速やかに確認できる状態で保存されていなかった。」
つまり劣化、不良を認識しつつ何もしてなかったといえる。
ここからは推測だがおそらく下記のような状況ではないかと考えられる。
・保全点検要領が機能しておらず具体的な周期、点検水準が決まっていない。
・点検計画時に前回記録を確認し、反映させていない。
・そもそも前回記録がきちんと文書管理されていない。
・設備の重要度として天頂部の接着系ボルト軽視されていた。
責任の所在は置いておいても、ちゃんと管理していれば未然に防げたのでは?
と思ってしまう事故だった。