工場・ビルなどの維持費の内、電気代や燃料など動光熱費、人件費などを除くとメンテナンス費というものが大きくのしかかってきます。
メンテナンス費というものはコンプライアンスを無視すれば0円にもすることができ、お金さえかければいくらでもという非常に自由度の高い経費です。はっきり言って同業種であっても企業、現場、部署はたまた個人でもそのさじ加減はバラバラなんじゃないかと思うほどです。(というか実際現場、現場でかなりの差があります)
とはいっても少ない予算で効率的に修繕を行えばお客さんは喜んでくれるはずなので、今回考察する上で実験的に分類してみました。
- 何もしない
- コンプライアンス上、点検しないと問題がある設備のみ実施。
- 設備停止によるインパクトが大きいもののみ計画的に補修あるいは整備する
- 設備停止によるインパクトが大きいものについて予備系の設備を設置する。またその予備を整備する。
- 美観を含めすべての設備を整備・補修する。
ざっと5段階に分類できるんじゃないかと思いますがが、ちょっとわかりにくいので車でイメージしてみます。
- 何もしない(ガソリン入れて乗るだけ)
- 車検は通す。
- エンジンオイルぐらいは交換
- もう一台車があり、いつも絶好調。
- 傷とかエンジン音とか気になったら全部直す。
逆にわかりづらくなった気もしますが、現実的にはほとんどの現場は3~4の間だと思います。で、気になるのが”設備停止によるインパクトが大きいもの”とは??
例を挙げると生産工場での製造機器停止、データセンターでの停電、病院での機器故障(ICUなど)発電所の停止などこの業界の人間ならちょっと聞くだけで恐ろしいですね・・・。
それではどの設備をどのくらいメンテナンスしたらいいのかはそのインパクトと天秤にかけて実施すれば良いのですが、多くの場合そのインパクトの損害金額について考察すると思います。
たとえばこのポンプが一日停止すると1億円の損害なので、年2回整備してなおかつ予備モーターを買って・・・なんて具合なんじゃないかと。(僕はそうでした。)
この考え方には決定的に欠けたものがあります。インパクトにはもうひとつ大きい要素あり設備停止に関係なく「社会的信用の失墜」というものがあります。
例えば・・・
謝って工場排水を川に流してしまう。
工場が燃えてニュースに流れてしまう。
銀行ATMが使えなくなる。
大規模停電する。
など設備は修復できても世間の厳しい目がなかなか収まらない状況になってしまいます。
多くの企業がメンテナンス費にコストをかけられなくなった昨今、設備停止による生産ロス等にクローズアップされがちです。しかしいくら生産がうまくいってもそのブランドイメージが損なわれてはモノが売れないはずです。
設備屋としてはお金だけじゃなくてプライスレスな安全性など重視して取り組みたいなあって思う次第です。お客さんが喜んでくれるかどうかは別として・・・。