電気設備を増設、改造する際には必ず気をつけなければいけない保護協調だが、なぜかあまり広く知られていない。電気を専門としている人も「保護協調はちょっと・・」と敬遠することもある。文献は多少あるものの、ネットでの情報はあまりないので今回簡単にまとめてみた。
例えば下記のような系統があったとする。
一般的に緑のVCB、赤の主MCCB、黄色のMCCBの保護協調曲線は下記のようになる。
なぜこのようなカーブになるかというと基本的に遮断器は
①大きい電流を短い時間で遮断 瞬時特性という
②少ない電流を長い時間で遮断 限時特性という
するように設計されている。
①の瞬時特性は短絡電流といった数kAといった大きい事故電流を即座に遮断するのが目的で、下記の図のような短絡電流が青のモータ近辺で流れた際、最初に黄色のMCCBを遮断し系統を保護することができる。
短絡電流は系統の事故点によって電流値が変わるが、どの場所で起きても上位の遮断器で遮断できる様、定格遮断容量を選定しなければならない。(遮断容量>短絡電流)
続いて②の限時特性だが、モーター、変圧器、ケーブル、その他盤母線などは過負荷耐量という特性がありこれを超過すると加熱して燃えてしまう。
これをふまえて青のモーターの上位のMCCB(黄色)は
×の過負荷耐量より早く遮断する様にする。そして定格電流保護のサーマルリレーよりも遅くしモーター始動時の突入電流をかわす。
なかなか面倒だが、設定が変更できるMCCBもあるのでモーターの特性カーブなどが手に入れば簡単に保護協調曲線が作れたりもする。
しかし、問題なのは①の瞬時特性で、短絡電流を求める事が現場によっては非常に難しいことがある。それは度重なる増設や更新の後、インピーダンスマップ(短絡電流を求めるのに必要)を見直すことを実施していないため、どこの系統でどのくらいの短絡電流が流れるかわからなくなっているためである。これでは現行の遮断容量が足りなくなるおそれがあり事故につながる。
地味で手がかかる保護協調だが、電気火災や停電事故を起こさないためにも、一度現場の保護協調を見直してみては???
1. 無題
Regards