先日現場で空気管式感知器のトラブルがあり、対処について協力会社の方に教えて頂いた事が目からウロコだったのでまとめたいと思う。
そもそも作動分布型の火災報知器とは何かというとマンションやビル、ホテルなど天井の低い個所で使われる感知器をスポット型と呼ばれるのに対し、広範囲を一つの感知器でまかなうものをいう。大型の工場や発電所、体育館など床面積が広く天井が高い現場に使われる。
↑おなじみスポット型
↑空気管式のイメージ図、直径が2mm程度の為ほぼ肉眼で下からは見えない
空気管式は非常に簡単な原理で、火災が起きると天井に張り巡らされた空気管の内部が膨張し、感知器のダイヤフラムが膨らみ接点を働かせ発報する仕組み。簡単な構造から設置後数年はトラブルが少ないのだが… 20年、30年と老朽化が進むとやっかいなことになってくる。
火災報知器のトラブルは主に、勝手に作動する誤報か試験しても作動しない不動作がほとんどである。ケーブルの絶縁不良などを除いてスポット式は本体を交換すればよいが、空気管式のトラブルは根が深い。
誤報の場合・・・・空気菅の詰まりが考えられる。気圧の急激な変化で発報することもある。
不動作の場合・・・空気管が切れている可能性大、試験をしてはじめて発見できる。
数メートルの高さと長さの空気管の外観点検はほぼ不可能に近いため、空気管が異常かどうか確かめるにはまず菅を感知器から外し片方を口にくわえ息を吹く、もう片方の菅を水につけポコポコ気泡が出たら正常だ。切れも詰まりもない事が確認できる。
問題は詰まりや切れによって気泡がでなかった場合だが、これは天井まで登るしかない。菅を切断し2か所息を吹く…そうすれば不良がある空気管の範囲を限定することができる。
この作業である程度あたりを付け、空気管を敷設し直し半田ゴテで接続するとようやく補修が完了する。
この作業は危険かつ労力もかかる。そして資格もないと調査もできない。とはいうものの老朽化すると空気管式は必ず不具合を起こす。これを読んでる設備管理者は間違っても受信機盤で機能を停止することが無い様に願いたい。なぜなら人を守る重要な設備だから・・・・。