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設備のマニアどっとこむ

設備、資格、DIYのブログ!

05/01

Thu

2014

史上最悪! ポバール化学工場放出事故

1984年インドのポバールという地域で史上最悪といわれる流出事故が起きた。
あまり有名ではないが一晩で2000人、最終的には1万5千人~2万5千人が死亡した大事故だ。

流出したのはイソシアン酸メチルという反応性の高いイソシアン酸塩で常温で気体、微量でも目や呼吸器、皮膚などに深刻なダメージを与える猛毒である。この事故で工場の近隣住民多数が被害を受け、生存者は現在も後遺症に悩まされている。

工場を運営していたのはアメリカのユニオンカーバイド社で農薬を製造するため40t容器3基分ものイソシアン酸メチルを貯蔵し使用していた。事故の経緯としては①製品の性状が思うようにできないため、ラインの水洗浄を実施→②禁水のイソシアン酸メチルタンクに混入し異常反応→③タンクの安全弁(圧力を逃がすための弁)が動作し運転員が気付く→④さらに圧力が上がり33mの燃焼塔から55t流出→⑤近隣住民が被害を受ける。といったシナリオだった。

↑ポバール事故のイメージ図


事故の原因は人的要因、設備的要因と様々だがまさに史上最悪と言える。


①水洗浄の際安全弁へのラインに仕切りを入れるルールだったが無視していた。
②安全弁排出ヘッダがステンレスでなかったため塩化第二鉄が析出、触媒となりイソシアン酸メチルが異常重合反応となった。(プロセスラインでステンレスを使わないのは日本ではありえない)
③イソシアン酸メチルタンクは冷凍機にて0度以下に管理されるはずが省エネのため冷凍機は止まっていた。また温度警報は止まっており異常重合反応には気付かなかった。
④安全対策として除害塔を設置していたが中和するアルカリはなかった。
⑤漏えいガスを燃焼するフレアスタックも設置されていたが配管工事のため使用できなかった。
⑥運転員はタンク圧力が高くなっているのを確認していたが、休憩後に対応しようとしていた。
⑦消防による放水(水吸着により無効化するため)が燃焼塔へ届かなかった。
⑧イソシアン酸メチルの危険性を周辺住民、医師等説明はしていなかった。
⑨そもそも5t程度が管理限度量であったが大量に貯蔵していた。
⑩以前にも流出事故があり内部監査時指摘があったが是正していなかった。



 ひとつとして安全対策はとられず。設備も機能していなかった。なぜこのような参事になってしまったのか…  当時安価な別系統の農薬が出回り、ポバール工場は経営危機だったという。
人員コスト、運営コストを削減した結果、このような事故となりリスク管理能力の欠如が間接的な原因といえる。しかし、日本の化学工場にも言える事だが、予算が潤沢にある場合にしか安全対策をしないというのは間違いで経営が傾き安全対策が実施困難となったときその製造工程は近隣へ被害を出す前に停止しなければならないのではないだろうか。






















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07/04

Thu

2013

反省すべき設備管理"笹子トンネル編"

2012年12 月 に中央自動車道笹子トンネルにて天井が140mにわたり落下、車3台が下敷きになり死者 9 人、負傷者 2 人の大惨事が発生した。

今からおよそ半年前の出来事で記憶に新しい人も多いはずだ。
先日その最終報告書が発表された。

調査・調査検討委員会による分析結果は主に

・設計強度の問題
・アンカーボルト(今回抜けて天井が落ちた)の施工状況
・点検実施状況

についてデータをもとに分析されたもので各々可能性は指摘されていたものの、残念ながらこれといって原因が特定されまとめられていたわけではなかった。

しかしながら報告書をよく読むと衝撃の事実が諸々書かれていた。

例えば
「結果的に天井部のL断面接着系ボルトについては近接での目視および打音検査は12年間未実施だった…」

随分と長い点検周期に感じるが保全点検要領(マニュアル)では

「道路交通と第三者に支障が出る恐れがある箇所の点検は1回/5年を基本とする…」

つまり5年に1度実施しておらず要領書に従っていない。

ちなみに前回の点検は2012年9月に実施しているが

「路面上からの近接目視及び打音、点検ダクト空間の近接目視及び一部打診」

と天井の下からの点検のみで天井の上のL断面接着系ボルトについては一部打音点検をスルーし実施していないことになる。

さらに驚いたのが
「2001年に実施したボルトの引抜試験(4本)で定着長不足も確認されたが、原因究明がなされず、またその後の点検・経過観察計画にも反映されていなかった。 」
「天頂部接着系ボルト652箇所の補修補強の形跡について、それぞれの補修補強目的や時期については、関係書類が調査当初に速やかに確認できる状態で保存されていなかった。」

つまり劣化、不良を認識しつつ何もしてなかったといえる。

ここからは推測だがおそらく下記のような状況ではないかと考えられる。

・保全点検要領が機能しておらず具体的な周期、点検水準が決まっていない。
・点検計画時に前回記録を確認し、反映させていない。
・そもそも前回記録がきちんと文書管理されていない。
・設備の重要度として天頂部の接着系ボルト軽視されていた。


責任の所在は置いておいても、ちゃんと管理していれば未然に防げたのでは?
と思ってしまう事故だった。













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プロフィール

HN:
アルティメット雅史
性別:
男性
自己紹介:
製油所、データセンター、化学工場を渡り歩いた設備のマニア
最近はarduinoあたりの電子工作にハマる。
取得資格は電験3種、消防設備士甲4、2級ボイラー技士、危険物乙4、電工2種、技術士一次試験合格(電気・電子)、フォークリフトほか

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